天守の復元(週刊ポスト記事)
週刊ポストの記事(9月18・25日号)に、「城の復元ルール緩和で『なんちゃって天守閣』乱立の恐れ」というのが出ていました。
彦根城は天守が現存していて、国宝に指定され、大久保市長は世界遺産登録を目指しています。
文化財行政というのは、様々な制約の中、非常に難しい問題を抱えています。しかし、前にも書きましたが、特別史跡内であるにもかかわらず、鉄筋コンクリートの建物(表御殿=博物館)が建っています。「できる」方法を探したからに他なりません。
ところが、様々な史料がなければ再築できなかった天守が再建できるようになったそうです。
そこで、私が15日の個人質問で取り上げました武家屋敷の復元は、天守の復元よりもなお、ハードルが低くなったのではないでしょうか。
市長の答弁で、「正確な復元史料」がないと「できない」というのがありましたが、そうではなくなったという方向性です。
「できない」理由を取り上げるのでなく、「できる」方法を考え、どこまで復元するのかということを考える必要があると思うのです。
水を湛えた外濠があったのが市民会館前の状態だったわけですが、まさかそこまで復元することは現実的には無理なことですが、敷地に余裕があり、なおかつ現場の過去の状態を示す古図もあるわけですから、そのようにすることができないかと「検討する」ことも市長の大事な仕事ではないでしょうか。
そして、そのことが、自らが公約としている「世界遺産登録」に資するのか、あるいは駐車場に利用することがよいのか、どちらが歴史的意義があるのかを検討すべきでしょう。
統治機構としての大名家のありようを後世に伝えるには、どちらが大事なのでしょう。
そういった検討を、庁舎建築工事が始まったときから考えて、地権者との交渉の方法を練っておくべきなのではないでしょうか。
先を見ることはとても大事なのだと思います。