彦根城の管理問題

彦根城の管理問題について、様々な声が寄せられています。

 

これについては、市長からの発表直後から多くの報道機関(テレビや新聞)が報道しました。東京の同級生からは、日本テレビのニュースでも取り上げられてという情報も入っています。本庁舎耐震化工事についての再々入札不調などは、関西エリアでのニュースだったようですが、東京でも取り上げられたことについては注目しなければならないと思います。報道機関は「事実を報道」することにおいて、批判であれ、賛同であれ、報道機関内部でのニュースバリューを検討して報道しているはずです。報道機関の姿勢としては中立・公正であるべきでしょうから積極的に賛否を示すことは少ないのですが、しかし本音の部分では「市民・国民に考えてもらいたい」という情報提供の側面があるはずです。

 

市長からの説明によれば、「働き方改革」の一環で、彦根城の管理・運営をしている彦根城管理事務所に所属する職員(そのほとんどは臨時職員として採用されています)の待遇を一般職員の待遇に合わせる必要があって、人件費(財政的な分野でいえば、「物件費」に分類されて、「人件費」の項目には入りませんが)の増大に繋がることから、現下の財政状況からすれば外部委託する必要がある、というのが一点目です。

 

次に、彦根城の入城者数が低迷している(という主張がされています)ことから、有能な管理者に委託することによって、入城者数を増加させ、その結果として入城料収入を増加させたいというものです。

 

三つ目には、ご当地キャラクターのはしりともいえるひこにゃんについても一括管理をしてもらうというものです。

 

では、これらの市長からの提案について一つずつ検証していきたいと思います。

 

まず、「働き方改革」です。政府の方針によって非正規雇用を中心として同一労働同一賃金という方針が打ち出されたのは2年ほど前のことでした。そのことについては本会議でも議論され、市役所内部でも十分な議論がされてきたはずです。しかし、これについての明確な結論が示されたという記憶はありません。議会に賛同を求めるためには、市役所内部で検討された結果というものをしっかりと公表して、市民の意見を聞き、その中で選択肢を示して然るべきです。今回、唐突に「民間委託」という提案が出てきたことに、「やっつけ仕事」のように受け取れてしまうのです。議会の賛同を得るためには、議論のプロセスがとても重要です。市民の共有財産である彦根城(ひこにゃんも同じことですが)を適正に管理運営することを民間に委託することが妥当であるかどうかについて十分な議論がされて然るべきです。ひこにゃんの問題は別に検討しましょう。

 

彦根城管理事務所には90人弱の職員がいます。日々、除草作業や清掃作業などをはじめ、入城券の販売や案内にも従事しています。なにしろ、広大な面積の土地・石垣などがあるわけですから、これでも十分であるのかという議論も必要でしょう。

 

彦根城の土地と建物は昭和19年に井伊直弼公の孫(井伊直愛元市長の父)が彦根市に寄附をされたものです。彦根市が地方自治体であり、適正・円滑な保全が期待できるからと寄附されたのです。とても個人で維持管理できるものではなく、彦根市に買い受けてもらったものではないことから、私腹を肥やす目的でなかったことは推測できます。どうしても「彦根城を残す」方法として決断されたのだと思います。

 

私は平成29年12月定例会で、彦根城の会計について特別会計にすべきだと主張しました。過去にそうであったこともあるのと、病院会計と同じように一般会計からの繰入が必要であるにせよ基本的には独立採算方式によって考えるべきだと思います。そうすることで、職員のモチベーションが向上するかもしれないとも考えたからです。

 

本年4月からは、彦根城管理事務所は従来の文化財部の所管から市長直轄組織へと移管されました。この時にも若干の疑問は感じましたが、よりよい管理・運営に繋がるのであればと賛成しました。

 

しかし、移管後半年も経たないこの時期に、外部委託という提案がされたことに、拙速であるという感が否めません。それが、「働き方改革」が理由の一つというのであれば、管理運営の根本の部分が欠落しているのではないでしょうか。

 

働き方改革で3億円とも5億円とも言われている財政負担増加を理由にしていますが、財政が厳しいという原因を作り出したのは、大久保市長の「決められない政治」の結果であって、自ら作り出した財政緊迫化のツケを彦根城管理に回してくることは問題でしょう。もしも、彦根城のような税外収入のない自治体であれば、働き方改革に伴う財政負担をどのようにして賄うのでしょう。

 

市長直轄組織は、平成31年度に急拡大したことも、今となっては問題なのだと言わざるを得ません。自分の配下に多くの組織(部署)を置くことで、機能していると言えるのでしょうか。

 

次に、入山者数の低迷というのが理由にあるようです。確かに、最も多かった大河ドラマ「花の生涯」のときの120万人よりは少ないのですが、一時期の50万人からすれば、順調に推移しています。観光旅行の目的地は、経済状況にも左右されます。一方では近年のように海外からの観光客の増加によって増えているところもあります。一喜一憂するものではありません。

 

20190906002

このグラフは新修彦根市史に掲載されている昭和29年度〜平成20年度の有料入城者を表しています。昭和39年度が「花の生涯」で、昭和62年度は「世界古城博」、生成19年度が「築城400年祭」です。

 

次のグラフは「市政概要」に基づいて作成したものですが、上のグラフ以降を示しています。

 

20190906001

 

ここ数年は70万人前後をコンスタントに維持しています。では、適正な規模(入城者数)がどの程度だと考えるべきなのでしょう観光客が増えることによって、維持管理の経費は増加します。特に、表門からの登城ルートである石段は江戸時代初めの「戦のための城」としての雰囲気を十分に残しています。石段の高さ(蹴上げ)や奥行き(踏み込み)がランダムなことで、攻めにくい城であることを表しています。観光客が多く訪れることによって、この石段が劣化することも考えられます。決して入城者の極端な増加は入城料収入の増加だけを招くものではありません。

 

しかも、市長は世界遺産登録を目指しています。もしも世界遺産登録ができたときには、一体どれだけの観光客が訪れると考えているのでしょう。卑近な例では、富岡製糸場の入場者数を参考にできます。富岡製糸場は平成26年度に世界遺産登録がされ、一気に133万人(平成25年度は31万人)の観光客が訪れました。しかし、平成30年度には元の水準を若干上回る51万人でした。世界遺産登録で一気に100万人増えたのです。このことによって、交通渋滞を招き、大変だった時期があったようです。http://www.tomioka-silk.jp/tomioka-silk-mill/guide/record.html

 

入城者が多ければよいのかと言えば、決してそうではないと考えるのです。適正な規模、適正な目標を持つべきであって、そこには常に市民生活との調和が必要なのではないでしょうか。そこのところのコントロールは外部委託にしてしまえば、手の届かないところへ行ってしまうのではないでしょうか。

 

そして、素案によれば、入城者が90万人を超えればインセンティブを支払うことになっています。しかし、その基準は90万人を超えれば3,800万円だというのです。普通、このような場合には増加数なり増加率に応じて支払われるべきものであって、ただ一線を越えれば支払うというのは経済原則からすれば不可解なものです。(だからと言って、インセンティブを支払うことに賛成しているのではありません。)

 

三つ目のひこにゃんについては次のような問題があります。ひこにゃんには2つの存在があります。1つは毎日彦根城に登場している、通称・モチとも言われるひこにゃんと、キャラクターとしてのステッカーなどのひこにゃんです。後者は市長直轄組織にひこにゃんブランド推進室が設置され、画像などの著作物の管理などを行っています。この2つのひこにゃんの切り分けはどうするのでしょう。

 

 

20190126002

 

 

一方で、モチについては、「彦根城での登場を中心とする管理運営」も含むとされています。これまでハワイやパリなどの海外出張もありましたし、全国各地へのイベント参加もありました。そうなると、モチはどこに所属することになるのでしょう。モチの登場については、初代のお世話係以降、スケジュール管理を徹底して行い、瞬間移動によって彦根城から他所でのイベントに参加するという離れ業をしてきたわけです。いわば、二元管理状態になるのではないでしょうか。

 

次に、平成31年度当初予算で「ご当地キャラクター協会」に対して、大変な迷惑をかけ、更には全国各地からのクラウドファンディングでご支援をいただいた全国各地のひこにゃんファンの皆さんのお蔭によって暫定予算の期間を乗り切ってくれた同協会に対する感謝の気持ちが全くありません。もちろん、同協会がこの管理運営業務に対して応募し、当選すればこの問題は問題ではなくなりますが、果たしてそこまで幅の広い業務運営ができるのかどうかです。

 

ここまでが、業務そのものの問題点です。

 

最後に、このところ頻発しています「債務負担行為」による予算提案についての問題点を指摘しておきます。

 

債務負担行為とは、複数年度に跨がる事業について、あらかじめ予算枠を定める手法です。事業の内容や金額について明らかである場合には十分な審議することができるとは思います。

 

今回の彦根城の運営管理についてはプロポーザル方式によることとして提案されていて、委託する期間が3年間(募集予算部分を含めれば4年間)とされています。これと同様の提案は、新市民体育センターの基本設計業務がありましたし、昨年9月定例会では同じくプロポーザル方式によって放課後児童クラブの運営業務が提案されました。ただし、期間は1年でしたし、従来の委託業務の延長線上とも言えるものでした。

 

しかし、今回の提案は全く初めての事業であり、どのようなことをしよう(してもらおう)としているのか、明確ではありません。更に、新市民体育センター基本設計業務については議会の特別委員会が様々に検討した幾つものリクエストがありましたが、そのリクエストは殆ど採用されずに終わったという記憶があります。

 

どうしたいのかという基本的な部分が雲を摑むようなことであって、まるで白紙委任するかの如き提案です。そして、一旦この債務負担行為について承認されたとすると、議会の関わる場所は非常に限られてしまいます。このような提案手法がよいのでしょうか。本来ならば、今年度予算として公募に関わる部分のみを提出し、公募後にその契約案に基づいて、複数年度に跨がる契約のための予算(債務負担行為)を提案すべきだと思います。

 

さらに、債務負担行為は複数年に跨がって予算執行を拘束することになりますから、次の市長にとっては足枷になることになります。彦根市の一般会計の予算規模は480億円程度ですが、その大部分は義務的経費と言われるもので、市長が自らの施策に充てることができるのは1割もあるかどうかです。つまり、次の市長にとっては自分が薦めたい事業の幅が狭められることになるのです。大久保市長が三選されるならまだしも、そのような流れでないことは多くの市民からの声や市外の人たちからも連日聞こえてきます。

 

このような長文のレポートを書かなければならないことは、今の彦根市の問題点の多さを如実に物語っているのではないでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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