昨日の本会議で反対討論をした「原稿」を全文、紹介します。なお、読み上げに際して、若干修正した部分があります。
私は、議案第1号「平成30年度(2018年度)彦根市一般会計予算に対する修正動議」に対しまして、一定の同意をしながらも、反対討論をいたします。
その理由は、今議会予算常任委員会において、全委員が反対の意思を表明し、議案第1号「平成30年度(2018年度)彦根市一般会計予算」を否決下からであります。
本来、議会のとるべき方向としては、本会議においても当初予算を否決し、行政は骨格予算を編成して、臨時議会を招集し、議決を諮るべきであると考えるからであります。
次に、今議会において度々引用された「義務的経費」という用語について、この使い方が正しいのかどうか、疑問がありますので、申し上げます。
「義務的経費」とは、本来、人件費・扶助費・公債費について、これらを括って表現する場合に用いるものであります。「義務的経費」に対する用語は「投資的経費」であります。
この度の耐震化整備事業の工事費等については、この2つの括りにおいては「投資的経費」であって、既に「債務負担行為」によって議決を済ませてあるものでありますから、「義務的に経費計上すべき」ものであるわけで、これを「義務的経費」という用語で表現することに違和感を感じます。
市長の発言は、用語の理解の面で齟齬があると考えます。
「裏合意」があったことは、既に認めておられるわけで、このことは契約履行上の問題であって、既に議会が承認した「債務負担行為」を執行するという点における修正動議には賛同致しかねるものであります。
あわせて、市長におかれましては、法律上、あるいは財政上の用語について明確な理解の上で発言いただきたいと思います。
私が既に昨年6月22日の、平成29年6月定例会最終日の反対討論の際に申しましたとおりのことが現実の形として現れたのが、工事請負契約契約締結における問題点そのものだったわけであります。あの日あのとき、この場におられた市長をはじめとした関係者は、私の討論をどんな気持ちで聞いておられたのでしょう。
あのとき、理事者側の誰か一人でも勇気を持って市長に「提案を取り下げましょう」と声を出していれば、今日(こんにち)のような問題には至らなかったはずであります。非常に残念でなりません。
いや、本来は、仮契約時点でそのことを市長に進言すべきであったのでしょう。本市には副市長が2人もいた、その時期の話であります。
たとえ担当の副市長が置かれていたとしても、受注希望業者が入札した41億円という金額が、市長の設定した29億3,900万円に比べ、11億6,100万円もの差があることに疑問を感じなかったという常識のなさがこのような事態を招いたわけで、決裁権者である市長はもとより、山根副市長にも、責任の一半(いっぱん)があると言わざるを得ません。もしも、建築の専門家でないから分からなかったと言うのであったとしても、建築工事が25%もの純利益を生むものでないことは一般人でも分かることです。ましてや、裏合意の有無にかかわらず、「同等品」を使用するという説明がその段階であったとしたなら、市長の先日の「地方自治法施行令第167条の2第2項」を知っていたという答弁どおりだとすれば、仮契約の段階で、市長はこの法令違反を見過ごしていた。つまり地方自治法第167条の2第2項をご存知なかった、あるいは条文の意味を理解していなかったことの証拠であります。知識は活用してこそ知恵になるのです。その不明を恥じる必要があると言わざるを得ません。
わずかなコンプライアンスの意識があれば、そして、議会・市民に対する謙虚な姿勢があったなら、そして経済における現状分析が十分に行われていたならば、ここまでの混乱には至らなかったはずであります。
市長は、顧問弁護士のアドバイスに従って、債務負担行為が既に承認されている最終年度であるから「当初予算に計上すべき」だとの答弁でありましたが、これでは土壌汚染問題やアルプラザの賃借期間の延長などを含めた耐震化工事全体にかかる経費が全く見えておらず、経費不足の先送りでしかありません。これが、市民に誠実な態度だと言うことができるのでしょうか。
「債務負担行為」の計上における積算の根拠についての問題はあるにせよ、議会としては一旦債務負担行為を承認したものであるので、耐震工事等の費用を除外するという修正案の提案について、私はこれに同意することはできません。
もしも、この修正案が認められるとするなら、市長の性格からすれば、またまた先送りを決め込んで、本当に解決しなければならない問題を解決できないまま平成30年度末を迎え、「繰越明許」なり「事故繰越」として処理をすることになりかねません。まさに、「その場しのぎ」の対応と言わざるを得ません。予算策定時点で既に6ヶ月程度の遅延が見込まれるものを、強引に予算に組み込もうとする財政的手法における問題が残ります。つまり、本来なら「債務負担行為」の期間と金額の変更が提案されて然るべきです。
さて、修正案が、万一承認された場合の、市長提案の当初予算案についても言及しておく必要がありますので、耐震工事経費以外について、以下、簡潔に申し上げます。
まず、金亀公園再整備に関連する支出については、市民体育センター廃止に至る経過に関する市長自身の答弁・説明に虚偽があり、その虚偽答弁を前提としたものでありますから、これを認めることができません。
次に、庁舎耐震工事に伴って発生することが見込まれる工事費等の不足、つまり、汚染土壌の撤去費用やアルプラザの賃料増加、更には方向性が明らかではないものの、工事費用の追加の可能性など、財政面における費用増加が明確に示唆されています。特に、財政調整基金の残高不足は多くの議員が本会議の代表質問や個人質問で取り上げたところです。
そのような中、新市民体育センターを65億円を前提として進めようとしていること、そして広域行政組合の新ごみ処理施設については、当初100億円と言われていた計画が、いつの間にか200億円にもなろうという計画になってしまっていることなど、財政的破綻をもたらす可能性が非常に大きいという認識を市長が持っていないと言わざるを得ない状況であり、彦根市を破綻させようとする予算組みであり、これらに関連する予算そのものを認めるわけには参りません。
更には、企画総務消防常任委員会で事務分掌に関する条例案が委員会採決で否決された中、市長直属で市長の特別顧問の経費が上程されていることにも疑問があります。市政全般に対する市長直属の特別顧問設置という組織のあり方は、屋上屋を重ねることであり、組織運営における混乱を作り出すことに繋がりかねません。
東京都においてはこの4月から特別顧問を廃止するという決定がされたように、「小さな政府」は社会の要請であると同時に、財政的にみても必然であり、政治の世界において政治的責任を問われないポジションを作ることは、職員の萎縮を招き、人材育成における阻害要因でしかありません。
第一、政治的責任を伴わない「市長の特別顧問」は政治の世界で許されざる立場であります。実質的な副市長2人制と同じであります。いや、政治的責任が求められる副市長と違って、「市長の特別顧問」はその責任が問われず、なおかつ議会が関与できないポジションであることから、より悪質な発想であると言わざるを得ません。
さて、以上のとおり、「債務負担行為」における問題と、修正を加えない部分における予算原案の両面において、この修正案を認めることはできません。
付け加えるなら、市長以下、理事者側の答弁が「虚偽答弁」の連続であることの問題、つまり「その場しのぎ」の答弁の連続に対する根本的な問題への真摯な態度が見えない現状にあっては、新聞紙上で取り沙汰されている「再議」などということすら、問題の解決にはならないと言わざるを得ません。今すぐに「骨格予算」を策定し、年度末までにその「骨格予算」の承認を得るべく準備すべきであります。
以上、問題ばかりが浮き彫りになっている当初予算案を前提とした修正案については、なんらの解決策にならないことを改めて申し上げ、修正案に対する反対討論と致します。
賢明なる議員各位の賛同を求め、あわせて市長以下、理事者の猛省を求めて反対討論を終わります。